カナダの報告から その2
(99.01.19)

報告書の中から「バガブー点描」の抜粋をしました。

<カインハット>

・カインハットは予約が必要 ない。しかし混んでいる場合は泊まれない場合がある。 その時はキャンプ場に行くことになる。ハットが1泊10ドル、キャンプ場が1泊4ドル。一括払いと、日払いのどちらかを選べる。一括払いの場合はよほどの緊急事態がない限り返却されない。常設している料金封筒に名前、住所を書き、料金を入れてパークレンジャーに渡すか料金箱に入れる。封筒にはのりが着いているので、しっかり封をすること。

・靴は入り口で脱いで下駄箱に入れて中にはいること。外人は室内履きを持ってくる人が多い。下駄箱のある所に夜になるとヒーターが入るようになっている。

・カインハットにはガスと電気コンロがあり、水もお湯も使える。

・人が多いときは使えないが、コップ、お椀型からディナープレート型の食器、コッフェルもあり使うことが出来る。しかし、コッフェルは持っていった方がよい。

使った食器などはきれいに洗い所定の場所にしまうこと。

・利用した人がおいていった食料はバガブーストアと書かれた棚に入っており、誰でも使うことが出来る。すぐに腐るものやアイスクリームなどは置いてはいけない。

・各フロアには掃除用具が置いてあるので各自掃除をすること。

・1Fが食事・談話室、2・3Fが寝るスペースでマットも置いてある。

・1Fにはバガブースの写真集、ガイドブックやトランプ、ボードゲームなどが置いてある。また、「bagabuu log」という雑記帳が置いてあり、今まで訪れた人のメッセージや、新ルートなどが載っている。日本人が日本語で記入したメッセージも数カ所あった。

・トイレは外にあるがトイレットペーパーは備え付けてあり、きれい。

・電気もついていて、コンセントもあるので、ビデオなどの充電もできる。

・ゴミは各自管理して持ち帰ること。室内は禁煙。

・ハットのすぐ近くにボルダリングのできる岩があるが、5.12以上でかなり難しい。

終了点にボルトがある。

・ガイドブックのハットは今のハットとは違う。またボルダリングをしている写真があるが、現在は写真の岩はなくなっている。


<パークレンジャー>

・パークレンジャーは5日交代で勤務している。彼らは良く働く。昼間は制服を着ている。

・彼らの主な仕事は料金の徴収、小屋の整備・管理、トイレの整備、宿泊客の行動の把握、宿泊客へのアドバイス、道の整備などである。その他私たちの見えないところで良く働いている。

・ハットまでの道やキャンプ場までの道は常にレンジャーが整備している。たとえばちょっとでも迷うようなところはいつも点検して迷わないようにしている。

<キャンプ場>

・ハットの下のキャンプ場がボルダーキャンプ場で、上のイーストポスト下のキャンプ場がアップルビードームキャンプ場。

・ボルダーキャンプ場へはハットからバガブー氷河の方へ下っていき、何本かの小沢を渡り、ジグザグに下りて行くと、大岩、小岩の点在する樹林帯の斜面にキャンプ場がある。10数張り程度のこじんまりしたキャンプ場で、周辺はお花畑。もう少し下ればバガブー氷河にでられる。気持ちのいいところだが、クライミングのベースにするなら、アップルビードームキャンプ場の方がよいと思う。ハットから5〜10分くらい。

・アップルビードームキャンプ場は、ハットから登ること40分くらいでイーストポストの下にある。かなり広いテントサイトである。

・どちらのキャンプ場にもトイレがあり、レンジャーが管理している。

<駐車場>

・バガブーフォールを通り過ぎて少し走ると分岐が現れるので、右の細くあれ気味の道を進む。突き当たりが駐車場になる。

・車を置くところが決められているわけではないが、動物よけで自然に分かれている。 約20台は止められる。

・山嵐やモーマットのような動物が車のタイヤをかじるため、車の周りに金網や棒が置いてあり、その金網を使い車を囲い棒で押さえて動物の進入を防ぐ。

・車を全て締めて置いても、車の中にカップラーメンなどの食べ物を置いておくと、網を通れて、エンジンルームなどから進入できる動物が、匂いをかいで車の中に入るので、決して食べ物は車の中に置かない方がよい。

・駐車場にはトイレがあり、トイレットペーパーも置いてある。

<動物や花>

・駐車場でも、登山道にも、またカインハットの周りにも数種類の小動物がいた。

pikaというなきウサギ、山嵐、大リス、小リス、しまりす等

・名前は分からないが花もかなりの種類が咲き乱れている。

<ルートについて>

・クレッセントタワー、ドンキーイヤーズ、クレッセントスパイヤー、バガブースパイヤーのNEリッジルートへはアップルビードームキャンプ場側からクレッセント氷河を行って取り付く。

・バガブースのほとんどのルートにはハーケン・ボルト類は残置されていない。下降ルートのみシュリンゲが残置されてあり、デッサーリングが着いている。

・リトルスノーパッチはスノーパッチスパイヤーの隣の低い岩山で、ルート図集の標高は間違っている。

・ルート図集で、クレッセントへの登攀タイムで「ベースから…」とあるのはアップルビードームキャンプからだと思われる。

・ハットは雨でも、ハットから30分ほどの氷河の上や、アップルビードームキャンプ場は雪の場合があるので、服装には注意が必要。

・天気はあまり安定しておらず、1日の中でもくるくると変わる。快晴でも風があり、高い雲が、バカブースパイヤーやスノーパッチスパイヤーの方からかかる。

・バガブースパイヤーのカインルートは過半部は傾斜も緩く優しいが、広い岩稜で、ここをノーザイルで登る。効率よくルートをとることがポイント。上半部も以外にルートファインディングを要する。従って、下降時はなおさら確かなルートファインディングが必要である。もしも初めてバガブースにやってきて他のルートを登って、初見で下降するならば、いささか苦労するかもしれない。特にガスった時は注 意が必要。一度このルートを登り、下降路を確保した方がよい。ルートも結構長く、我々の下降でも、約2時間30分を要した。

・氷河から各取り付きまではたいていモレーンを登るが落石が多いので注意が必要。

・氷河は刻々姿を変えるので、ベルクシュルンド、落石、クレパス等状況に応じて越えることが必要。

<天気>

・入山して前半は1日のうちでも天気の変わり方が激しく、晴れたと思うと雨が降り、曇ってまた晴れてまた雨になるという感じだったが、後半は朝のうち曇っても雨にならずに曇ったままというふうに安定してきた。

・西(ハットから見るとスノーパッチスパイヤーとバガブースパイヤーの方角)から変化してくる。スノーパッチスパイヤーやバガブースパイヤーの頂上付近に雲がかかり、風が強くなって、雨が降り出すと行った感じ。

・ハットは雨でも、アップルビードームキャンプ場や、氷河は雪か雹が降っていることもある。

・スノーパッチスパイヤーとバガブースパイヤーのコルを越えると、風がかなり強いことが多い。

・天気の情報は、2〜3日に一度、パークレンジャーがGolden気象台の予報をロッジ内のホワイトボードに記入する。

・カナダの7月8月は高緯度のため夜11時頃に暗くなる。朝は5時頃に明るくなる。 夜明るいことになれるか対処法を考えた方がよい。

 

・今回は堤の天気の読みが全て当たり、クライミング当日は快晴か無風快晴悪くても曇という、良い条件でクライミングをすることができた。